DxO PhotoLab
DxO OpticsPro 10を使って画像補正をする
Gilles Theophile氏とのコラボレーション
DxO OpticsPro 10は、カメラで撮影されたJPEGまたはRAWの画像に加えて、Adobeのアプリケーションで作成されたDNG形式のファイルもサポートしています。これは更なる高画質を目指してのことです。
DxO OpticsProの基本的な利点は、デフォルトで適用されるプリセットと光学モジュールによる完全に自動化されたワークフローです。
デフォルトのプリセットには様々な補正が設定されていますが、アプリケーション内で画像が読み込まれた際に自動的に適用されます。これに加えて、DxO光学モジュールがカメラとレンズの組み合わせに合った補正を適用します。
DxO OpticsPro 10では勿論、〔設定〕タブにある補正ツールを使って手動で補正することも可能です。補正作業後は、画像をハードディスクや、別のアプリケーションに向けてエクスポートしたり、Flickr やFacebookのギャラリーに直接投稿したり出来ます。画像をプリントしたりコンタクトシートを作ったりも出来ます。
このチュートリアルは、DxO OpticsPro 10を使っての画像補正をする場合の典型的なワークフローを紹介します。
DxO OpticsPro 10のインターフェース(〔設定〕タブ)
このチュートリアルを利用するには以下のものが必要です。
- DxO OpticsPro 10
- RAWまたはJPEG画像
目次
- 1 – 基本
- 2 – アドバンスワークフロー
- 3 – ステップアップ
先ず始めに: JPEG か RAWどちらの形式で撮影するか。
DxO OpticsProの機能を十二分に発揮し高画質を実現するためには、RAW形式で撮影することをお勧めいたします。RAW画像の方が、特にトーン補正(露光とコントラスト)において補正の自由度が高いためです。DxO OpticsProは非破壊方式を採用しているため、元画像は変更されず何度でも補正のやり直しが利きます。
これに対しカメラから出力されたJPEG画像は、カメラに内蔵された補正設定によって既に現像作業が完了した画像であるといえます。更に補正をすることは可能ですが、利用できる補正機能は自ずと制限されます。
1- 基本
この章では、DxO OpticsPro 10を初めてインストールした場合を想定し、動作の基本、インターフェース、人間工学の観点から説明します。
DxO OpticsPro 10で画像を開く
DxO OpticsPro 10は2つのタブで構成されています。
- 〔選択〕タブ:コンピュータのハードディスク上にある画像フォルダにアクセスできます。
- 〔設定〕タブ:画像補正のための補正ツールが利用できます。詳細はこのチュートリアルの第2章で説明します。
メモ
DxO OpticsPro 10のインターフェースはカスタマイズ可能です。自分の好きな補正パレットを集めて自分だけのワークスペース(Essential版とElite版)を作成したり、ユーザーパレット(Elite版のみ)を作成できます
〔選択〕タブ
〔選択〕タブを使ってハードディスク上あるフォルダにアクセスできます。タブ内には画面左の〔参照パネル〕、画面をプレビューできる〔画像ウィンドウ〕、画面下の〔画像ブラウザ〕があります。〔画像ブラウザ〕には、選択されたフォルダに入っている画像が表示されます。
〔選択〕タブ
〔参照パネル〕
画面左にある〔参照パネル〕には、お使いのコンピュータのハードディスク上の中身がフォルダツリーで表示されます。Windowsのエクスプローラ、またはMacのFinderと同様に機能します。
DxO OpticsProを使って補正したい画像にアクセスし、画像上でクリックして選択します。
〔参照パネル〕
メモ
画像の入っているフォルダを選ぶと〔画像ブラウザ〕にサムネイル画像が表示されるのと同時に、DxO OpticsProは撮影に使用されたカメラとレンズの組み合わせに合ったデフォルト設定のプリセットと光学モジュールを自動的に画像に適用します。
〔画像ブラウザ〕
DxO OpticsProの画面の下に位置する〔画像ブラウザ〕は、〔画像パネル〕内で選択されたフォルダの中の画像をサムネイルとして表示します。
〔画像ウィンドウ〕に画像を表示するには、サムネイル画像上でクリックをします。別のサムネイル上でクリックすると表示される画像が変更されます。キーボードの矢印キーを使っても同様に表示画像の変更ができます。
〔画像ブラウザ〕
メモ
サムネイルにはデフォルト設定では、画像ファイルの名称とスターランキングしか表示されませんが、場合によって、画像の処理と補正のステータスが表示されます(DxO光学モジュール利用可能状況、処理ステータス、処理を可能にするかの設定等)。
DxO光学モジュール
DxO OpticsProの自動補正のために重要な二つの柱の一つがDxO光学モジュールです。DxO Labsでは、光学的欠陥を自動的に補正するため、専用ラボでカメラとレンズの組み合わせのキャリブレーションを行っています。
メモ
DxO光学モジュール は、非常に多くのカメラとレンズの組み合わせをカバーし、定期的に新規追加されています。
DxO光学モジュールの自動検知
DxO OpticsProの〔画像ブラウザ〕で画像を表示する際、画像のEXIF情報(カメラ機種と撮影条件)を参照し、自動的に必要な光学モジュールをインストールするためのウィンドウが表示されます。後は撮影に使用されたカメラ機器に対応した光学モジュールをインストールするだけでわざわざリストから探す必要はありません。光学モジュールのインストール後、アプリケーションを再起動する必要はありません。
DxO光学モジュールのダウンロードとインストール用ウィンドウ
メモ
DxO光学モジュールのダウンロードにはインターネットへの高速接続が必須です。
光学補正の自動適用
撮影に使用したカメラとレンズの組み合わせに対応するDxO光学モジュールがインストールされるとDxO OpticsProは自動的に補正を適用します。
- 〔ヴィネット〕: 絞りの大きなレンズを使った際に多く生じる画像四隅の光量落ち。
- 〔ディストーション〕: 焦点距離が短い場合によく発生する〔ピンクッション〕、または〔たる型〕の画像の歪み。
- 〔色収差〕: 強い光の背景前の木の枝など、コントラストの強い輪郭線上に表われる色付きのフリンジ。
- 〔レンズブラー〕: 中心から画像周辺部に向かって発生するレンズブラーを補正し、全体のシャープさを上げる(通常レンズは、画像の中心はシャープだが周辺部に向かうに従ってブラーが発生)。
DxO光学モジュールが自動的にレンズの光学的欠点を補正
デフォルトプリセット〔DxO標準〕
DxO OpticsProの自動補正のために重要なもう一つの柱が〔DxO標準〕プリセットです。これは、露光補正、色調補正、ノイズ除去を行います。
メモ
DxO OpticsProには様々なクリエイティブなプリセットが用意されており、画面右上の〔プリセット(参照)〕ボタンをクリックして選択することが出来ます。自分で設定した補正内容からプリセットを新規作成することも可能です。
デフォルトの〔DxO標準〕プリセットを自動適用
フォルダを選択すると、中に入っている画像が〔画像ブラウザ〕に表示されます。この際〔DxO標準〕プリセットが自動的に画像に適用されます。
デフォルトの〔DxO標準〕プリセットの補正内容
デフォルトで適用される〔DxO標準〕プリセットには、以下ようなの補正項目が設定されています。
- 〔ホワイトバランス〕 〔撮影時設定〕モードにデフォルト設定されておりカメラ内での設定をそのまま使用。
- 〔DxO Smart Lighting〕 画像の暗い部分と明るい部分のバランスを自動的に最適化。〔弱〕に設定。
- 〔カラーレンダリング〕 撮影に使ったカメラの持つレンダリングを適用。カメラメーカーの設定に準拠。
- 〔彩度過多補正〕 彩度が高い部分が極端にならないように調整。〔Auto〕モードで設定。
- 〔ノイズ除去〕 カメラ機種とISO感度に応じて、輝度ノイズ(粒子状)とカラーノイズ(色つきピクセル)の発生を抑制。〔High〕モードと〔Auto〕モードで設定。
画面上のコマンドバーにある〔画像比較〕ボタンをクリックすると補正前/補正後の画像を交互に表示できます。
画像のエクスポート
補正した画像は、人に見せたり、配信したり、印刷する目的で利用されます。DxO OpticsProは用途に応じて、ハードディスクや別のアプリケーションだけでなく、Flickrの画像ギャラリーやFacebookのアルバムに画像をエクスポートしたり、勿論プリンタに送って紙に印刷することもできます。
標準的な出力オプション
DxO OpticsPro 10には、エクスポートのための様々な出力オプションが用意されています。このチュートリアルでは、RAW画像を、予め設定されているオプションを使ってJPEG形式でエクスポートします。
- 1 – 〔画像ブラウザ〕内でエクスポートする画像を1枚または複数選択します。
- 2 – 〔画像ブラウザ〕右上の〔ハードディスクにエクスポート〕をクリックします。
- 3 – ウィンドウが表示されます。標準的な出力オプション(JPEG形式、品質90、出力先は元画像のフォルダ内等)がデフォルトで設定されています。
- 4 – 〔エクスポート〕ボタンをクリックします。
- 5 – エクスポートの進捗状況は、〔画像ブラウザ〕右上の〔ハードディスクにエクスポート〕の青いボタンの左に表示されます。
- 6 – エクスポート作業が終了すると〔画像ブラウザ〕内にJPEG画像が追加されます。ウェブギャラリーに発表したり、メールで送ったり、プリントしたりできます。
エクスポートのオプションウィンドウ
2- アドバンスワークフロー
この章では、画像の自動補正後、更に手動で補正するための補正ツールの詳細を説明します。特に〔主要ツール〕パレットに入っている補正ツールを扱います。
メモ
どの順番で補正を適用しても最終的には同じ結果になりますが、スムーズな補正ワークフローのためには、ここで紹介する順番に補正をすることをお勧めします。
メモ
DxO OpticsProの補正ツールの機能に関して疑問がある場合、パレット内の右上にある〔?〕アイコンをクリックしてください。ツールに関する説明文が表示されます。
〔主要ツール〕パレット
〔主要ツール〕パレットには、自動補正された画像に更に手動補正をするために必要な基本的なツールが集約されています。
このパレットに入っているツールは全て、〔ライト〕〔カラー〕〔ディテール〕〔ジオメトリ〕パレットにも入っています。
〔主要ツール〕パレット
画像の補正
素早く手動補正するには以下の手順に従ってください。
ホワイトバランス
〔ホワイトバランス〕ツールは、撮影シーンの色を正確に再現したり、証明の種類により生じる色被りを補正できます。
- 1 – 〔ホワイトバランスカラーピックツール〕アイコン(パレット内か、画面上のコマンドバー内)をクリックします。
- 2 – マウスポインタ(ピッカーツール)を移動し、画面内のニュートラルな部分(白かグレー)をクリックします。
- 3 – 〔画像パネル〕の右下の〔閉じる〕ボタンをクリックすると補正が保存されます。
〔ホワイトバランス〕サブパレット
〔ホワイトバランス〕による補正
トーン補正
ここでいうトーン補正は画像の露光と明るさの補正を意味します。画像内の光量の違うゾーン(ハイライト、中間トーン、シャドウ)の画像情報を使って画像全体のトーン補正を行います。これには以下のようなツールがあります。
- 〔DxO Smart Lighting〕:ダイナミックレンジの最適化をするために〔モード〕メニューから、〔弱〕〔ふつう〕〔強〕〔カスタム〕〔DxO OpticsPro 9〕〔DxO OpticsPro 7〕のいずれかを選択します。または〔強さ〕スライダを使って手動(カスタム)での補正も出来ます。
- 〔選択性トーン補正〕:画像内の光量の違うゾーン別にそれぞれ〔ハイライト〕〔中間トーン〕〔シャドウ〕〔ブラック〕スライダを使って独立して補正が出来ます。
〔DxO Smart Lighting〕 と〔選択性トーン補正〕サブパレット
元画像
元画像
メモ
DxO OpticsProのバージョン10では、DxO Smart Lightingのバージョン9とバージョン7も利用可能です。〔モード〕プルダウンメニューから選択できます。
DxO ClearView (Elite版のみ)
DxO ClearViewは、特に風景写真や都市写真などでディテールをぼけさせ色の彩度を下げてしまう画面上の白いもやを自動的に補正できます。
DxO ClearViewを適用するには、サブパレットを選択するだけです。デフォルトではスライダの値は〔50〕 になっていますが、スライダを動かして手動で調節することも出来ます。
〔ClearView〕サブパレット
補正前/補正後の画像
コントラストとマイクロコントラスト
〔コントラスト〕サブパレットには、作用の大きく違う2種類のスライダがあります。
- 〔コントラスト〕:画像内の一番明るい部分と暗い部分の差を調整します。
- 〔マイクロコントラスト〕:画像内の細かなディテールや質感を強調します。逆にスライダを左に移動すると、細かなディテールが和らぎます。これはポートレート写真の肌を滑らかにする効果があります。
メモ
3つめツール〔微細コントラスト〕は、〔マイクロコントラスト〕と比べてやや荒めのディテールを強調し効果も柔らかです。このツールはDxO FilmPack 5がDxO OpticsPro 10用のプラグイン版がインストールされている場合のみ利用できます。
〔コントラスト〕サブパレット
〔マイクロコントラスト〕は画像のディテールを引き出します。
自然な彩度と〔彩度
〔色彩強調〕サブパレットには、2種類のスライダがあります。
- 〔自然な彩度〕:このツールは画像内の他の色をそのままに空の青だけを強調することが出来ます。
- 〔彩度〕:画像全体の彩度を色に関係なく上げたり下げたり出来ます。
サブパレット〔色彩強調〕
〔自然な彩度〕スライダでの補正前/補正後
ノイズ除去
ISO感度を上げるにつれて画像にデジタルノイズが多く発生します。このノイズは粒子状(輝度ノイズ)であったりカラーピクセルの塊(カラーノイズ)であったりします。特に画像内の暗い部分に現れます。
DxO OpticsPro 10のノイズ除去には、2つのモードがあります。
- 〔High〕:DxO OpticsPro 10で画像を読み込んだ際に適用されます。ほとんどの場合、このモードで十分です。
- 〔DxO PRIME〕(Elite版のみ):このモードは、画像のディテールと色調を保持しながら、より効果的にノイズを除去します。特に超高感度ISOで撮影された画像に最適です、
サブパレット〔ノイズ除去〕
ノイズ除去テクノロジーDxO PRIMEを適用
メモ
DxO PRIMEによるノイズ除去はRAW画像のみに適用可能で、処理時間が通常よりも長くなります。DxO OpticsProのバージョン10では処理スピードが改善されてワークフローの効率が上がりました。
- 処理スピードが最大4倍アップ
- ルーペ内の表示スピードが2倍以上アップ
〔水平〕と〔クロップ〕
このツールは、画像内の傾いた水平線を補正し、画像の構図を変更できます。
- 〔水平〕: 水平線と垂直な柱などを真っ直ぐに出来ます。
- 〔クロップ〕:画像を単に切り抜いたり、新しい構図で再構成できます。元画像のアスペクト比(横縦比)を維持したり、別の比率に変えたり出来ます。
水平補正されクロップされた画像
3- ステップアップ
ここまで一般的な補正を見てきましたが、〔DxO標準〕プリセットとDxO光学モジュールの自動補正を更に微調整したり、一部または全部をやり直すことも出来ます。
勿論、DxO OpticsPro 10には他にも多くの補正ツールがあります。ここで紹介した補正ツールにも更にオプションがあり、他にはダスト除去やモノクロ変換ツールがあります。また違ったカラーレンダリングの適用も可能です。
画像の補正作業が終了したら、目的に合わせて様々なエクスポートの方法があります。
〔ハードディスクにエクスポート〕: 1枚または複数の画像を指定したハードディスクやフォルダ内に、JPEG/TIFF/リニアDNG形式でエクスポートできます。
メモ
DxO OpticsPro 10のElite版は、違った画像形式で複数の場所に同時にエクスポートすることが可能です。
〔別のアプリケーションにエクスポート〕:Photoshopなどの他のアプリケーションに画像をエクスポートして、追加補正やレタッチができます。
〔Facebookにエクスポート〕:アルバムやタイムラインに画像を直接投稿できます。
〔Flickrにエクスポート〕: ウェブ上のギャラリーに画像を直接投稿できます。
〔Lightroomにエクスポート〕:Adobe製の写真管理ソフトウェアに画像をエクスポートできます。
メモ
DxO OpticsPro 10にはLightroomからRAW画像を転送できるプラグインがあります。詳しいことは、このチュートリアルを御参照ください。
〔プリント〕:一枚ずつ、あるいは複数の画像をプリントしたり、コンタクトシートを作成することも出来ます。
メモ
DxO OpticsPro 10を更に活用したい方は DxO Academy のページにあるチュートリアル、ユーザーマニュアル、紹介ビデオを参照していただけます。
写真提供: Rio Rinaldi Rachmatullah, Jean-François Vibert